疲れた夜
2009.08.06

夢を見た。
ここはどこだろう。暗い。
だけど、どこからか明かりが届いているようで、わずかに見える。
だから鏡があることだけは理解できた。
学生が新生活をむかえるのに購入するような安っぽい縦長の鏡だ。
僕はそれで、自分を見ている。
しんどそうな僕が見える。明かりがないせいか顔色がわるい。
髪が短いのに、髪がぼさぼさだなぁと思った。
右手をあげてみた。
鏡の向こうの僕も右手をあげた。
両手を左右に振ってみた。
鏡の向こうの僕も両手を振っている。
当然のことなのだけど、なにか違和感があった。
今度は鏡に背を向けて、振り返り美人をしてみた。
そこには僕はいなかった。
そこには椅子に腰をかけている人がいるが、顔がよくみえない。
だけど、ここには椅子はない。
違和感が増幅する。
その人物の髪型、着ている服は僕と同じだ。
僕なんだろう。直感的にそう感じた。
ここにいたくない。強く感じた。
その人物が頭をあげた。
やはり、僕だ。
顔がどんどん変わる。
目と口の部分が、あなぼこになった。
この部屋以上に真っ暗で、そこは見えない。
形が変形していく。
まるいともいえず、かくばっているともいえない。
じゃがいもみたいだ。
この時、おもわず後ずさりしていたようである。
背中には壁があり、よくない汗がでていることがわかる。
僕の気持ちとは別に、そいつは鏡に近づいてくる。
鏡に手をあてた。
人差し指と中指だけが異常に長いことがわかる。
その長い日本の指を鏡にあてた。
鏡をこえて、指が伸びてくる。
怖い。逃げたい。ここから・・・
目が覚めた。
体が動かない。
かなしばりだ。
と思いきや、指が伸びてくる部屋にいる。
すぐに眠りに落ちたみたいだ。瞬間的に悟った。
夢の中で、夢だと感じているのにここから出られない。
体も動かない。指は伸びてくる。
もうどうでもいいや。
あきらめたら、扉が開いた。
扉があったことに驚いたが、そこから出てきた人物、よいこの二人にも驚いた。
それに部屋の明かりが点いた。
そこに指はない。
鏡のなかには、僕がいる。
鏡を触ると、同じように鏡を触る。
正真正銘の僕だ。
よいこの二人は、ここで悲惨な歴史があったことを僕に説明する。
怖くないから、と。
友達になれるから、と。
ばかみたいに意味の分からない事を楽しそうに言う。
そんなことよりもここから出してくれと頼んだら、なぜか二人は扉を閉めて帰っていった。
扉が開かない。
点いていた灯りも消えた。
鏡をみると、ヤツがいた。
指が目の前にある。
体が動かない。
指が鼻にあたりそうだ。
首も動かせない。
指が鼻にあたった。
あ”ーーーーーーー
目が覚めた。
朝の六時だ。
タイマーセットしていたテレビがついている。
目覚ましも忙しそうに鳴っている。
現実に戻れた。